エジプト旅行記第6話「滞在スタート」

さて、とうとうカイロ滞在がスタートする。

うっすらと目を開けるとそこはホテルの部屋。
エジプトのカイロに来ている事を理解するのに少し時間がかかった。

珈琲を淹れバルコニーに出てみると目の前にはナイル川が広がりうっすらと霧がかっている。
天候には恵まれ、最高の朝だ。そして朝の喧騒が少しずつ聞こえてくる。

「カイロかぁ・・・」と一言。

ナイル川沿いに高層ホテルが並ぶところに位置する我々の宿泊先からは街を一望できた。
とにかく茶系の建物が隙間を許さないほど密集している。東京も凄いと思ったが比ではない。
人々が行き交い、叫び声やら怒鳴り声が聞こえ、片道2車線の道路も気付けば片道4,5車線分の車がひしめき合っている。遠くに目をやっても見えないが、そこにはピラミッドやスフィンクスがあり、サハラ砂漠が広がっていることを想像できた。さらに北に行けばアレキサンドリアがあり地中海があり・・・歴史が見えてくる。エジプトに来たかと実感してきた。今日から10日間ここに住むわけだ。「さぁ、音楽をするぞ」

2月20日、今日から早速リハーサルが開始する。これからの10日間与えられた時間と環境を一番効率よく過ごすためにY多さんという方が同行し通訳をしていただき、さらにはいろんな事を教えてくれた。一眼レフをこよなく愛し、すでに何年来の友人のような感じでとてもリラックスできる方だった。「眠れましたか?今日はこんな予定です。何時にどこどこです。次はここです。ご飯はどうしましょうか?」感謝。

さて、今回はコンチェルトだけでなく室内楽もありソロもある。まずは午前中に1人で練習。カイロ在住のK村さんが快く自宅を提供してくれた。普段ホームコンサートもしているというのもあって、広いリビングには丁寧に調律されているKAWAIのグランドピアノがあった。まずは第1音。カイロの部屋に鳴り響くピアノの音。適度に乾いた湿度と広い部屋には心地よく伸びのある音色が響いた。日本の住宅事情ではこうはいかない。しかし当の住人が不在の中で僕1人そこに居るというのはなかなか緊張するものだ。何か悪いことをしているかのように感じる。いや、別に悪いことはしていないのだけど。

2時間ほどの練習を終え次に向かったのはオペラハウス。5日後にカイロ交響楽団と共演するところだ。そこのリハーサル室でコンサートマスターのヤーセル氏と会う。とても優しそうで非常に好感の持てる方だった。日本には何度か来ており日本食を愛して止まないそうだ。「ウナギオイシイ」と言っていた。彼はコンサートマスター兼ディレクターも務めており多忙極まりなく、ゆっくり話す時間もないので早速モーツァルトのヴァイオリンとピアノのためのソナタk.304を合わせた。これはモーツァルトの作曲したヴァイオリンソナタの中で唯一の単調の作品。激しいドラマはなく常に悲しく寂しくしっとりと、時にふと現れる母の愛のような温かさで救われ、しかし内に秘めた精神的な深さと強さを感じさせる名曲中の名曲。お互いの音楽で会話するように感じ合い、探り、理解し、疑問を持ち、試し・・・あっという間の1時間。多くを語らずお互いの音楽を感じ合い、次回に期待する、それで充分だった。要するにとてもよいリハーサルだったという事です。

「さて末永さん、昼食を食べに行きましょう。地元の人達が良く行くお店です。そういう所は大丈夫ですか?」とY多さん。

喜んで・・・!

この日の夜、指揮の吉田氏が到着する。

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