理系と芸術

オーディション後、東工大のカフェで肥田野さんと教育について語る。
視野の広い、志の大きい方との対話は多くの学びに満ちている。
 
先日、東工大でオーディションの審査があった。10月に行われるイベントのためのオーディション。東工大には藝大から寄贈された今年90歳を迎えるBechsteinピアノがある。そのためのイベントとしてパリ国立音楽院からイヴ・アンリ教授を招聘、マスタークラスとコンサートが企画されている。

東工大にあるBechsteinピアノについては下記参照
http://www.titech.ac.jp/about/introduction/html_chronicle/420/420-3.html

マスタークラスに参加できる生徒を東工大含め外部からも参加させる・・・という事ではなく、あくまでも東工大の学生のためのものだ。東工大は「Art at Tokyo Tech」という総合アートイベントを続けている。アートに関わる全てを同じ土俵に上げ刺激的な企画を発信している。ダンス、朗読、音楽、コンテンポラリーパフォーマンス、美術館関係者講演、写真家、画家、他あらゆる関係者を巻き込んでのビッグイベント。(僕も以前、サックスの大石将紀さんと一緒にリサイタルをさせて頂いた)

超理系の大学が芸術に関心を示し、それを社会に発信し続けている事が何よりも興味深い。(大学構内には世界文明センターという施設もあり、そこでは日々アートに関する講義が行われている)担当の肥田野教授は言う。「アートの概念、精神はあらゆる事へのポズィティブな作用がある。そしてアートに触れる、体験することは結果、自己を見つめることに繋がり、我々の研究等にもその精神、影響は非常に重要なものと理解している。」と。

幾度かオーディションの審査員として参加しているが、そこにはピアノソロだけでなく、室内楽、ヴァイオリンやイングリッシュホルン(!)、自作自演、弾き語り等その多彩な出場者たちは毎回我々を飽きさせない。そして今回は何と演奏後出場者一人一人にレッスンするという機会を与えられた。時間が限られているので演奏後約5分から15分程度のレッスン。ヴァイオリンをレッスンしたのは生まれて初めての経験。詳しい技術的な事はレッスンできない。しかし音楽的なアプローチではいくつかはアドヴァイスできる。自作を演奏された方にもアドヴァイスさせて頂いた。

このオーディションの結果によってイヴ・アンリ教授の公開レッスンを受けれるかどうかの資格を与えられる。非常に名誉なことだ。しかし原点を見つめてみるとそんな事は関係ない。「自分の音楽をすること」ただそれだけだ。ここ東工大の音楽愛好者たちからは豊かな音楽性を感じる。中には今すぐにでも演奏会を開けるほどの実力者もいる。各々が自分たちの音楽を愛し、パフォーマンスするその姿勢を見ていると、普段専門的に音楽の世界にいる僕に初心を呼び起こさせる。

素晴らしい楽器、刺激的なアートイベント、気持ち豊かな音楽愛好者たち・・・なんて素晴らしいのだろう。音楽(または芸術全般)は万人のものだという事実を、再度僕に気付かせる、ここ東工大。僕自身も彼らから多くを学ばせてもらっている。感謝。

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