そう思うだけで

リハーサルを終え、鞄には楽譜やポケットスコアを、そして手袋をはめて凍りかけた雪道を気をつけながら帰宅する。素晴らしいリハーサルの時間だった。音楽の素晴らしさを改めて強く思う今、心の中が何となく温かい。

足元を見て歩いていたせいかそれまで気づかなかったが、自宅の前に着いた時ふと見上げると見事な明るい月と星が姿を現していた。

小さい頃から望遠鏡で夜空を見るのが好きだったが、その時必死になって覚えた星座を今となってはほとんど覚えていない。けれどそんな僕でもオリオン座くらいはわかる。

そう、見上げた夜空にはオリオン座があった。ぼぉっと見つめる先には白い息が星座を覆っていた。そんなオリオン座を見る度に思い出すことがある。

ドイツに住んでいた時、アパートの敷地に入るとその上にはいつもオリオン座が見えていた。注目していたわけではないが、いつどんな時もそのオリオン座は僕らを見下ろしていた。嬉しい時も悲しい時も、寂しい時も。

今、日本に住んでいて僕はオリオン座を見ている。同時に、ドイツでそれを見上げていた自分を重ねる。目をつぶるとそこはドイツであり、目を開けると日本の自宅の前に立っている。

「僕」を軸に場所と時間が変わりぐるぐると回っているような不思議な感覚。そう思ってるだけなんだが…

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