先生

中島和彦先生・・・僕が本格的に音楽の道に進み始めた中学時代から、ピアノの厳しさを、そして厳しい道のりを歩むための「意識」を徹底的に教えてくれた先生だ。とても厳しい先生で、緊張のあまりレッスン直前は貧血で倒れてしまいそうになるくらいだった。挨拶だって怖かった。

しかしドイツ留学中、一時帰国で母校の桐朋学園に行った時、偶然にも中庭で見かけ一瞬「!」と緊張感が走ったがそんなものはすぐに吹き飛んでしまった。先生は僕を見かけた途端笑顔で両手を広げて全身で受け入れてくれた。「あの先生が!?」と一瞬びっくりしたが、あの緊張に満ちた中学高校時代から随分時も経っている。すぐに先生の広げた両手に飛び込めたそんな思い出が蘇る。あの時の嬉しさは忘れる事はない。その数年後に突然亡くなるなんて誰が想像しただろうか。

今日、先生の奥様とヴァイオリニストのご友人お2人(1人はドイツはWuppertalのオーケストラの団員で一時帰国中)とのランチに参加させてもらった。中島先生の若い時から知っている旧友で、共演したり、プライベートでもいろいろと交流があったらしく、その当時の貴重なエピソードをたくさん聞くことが出来た。

「先生に会いたい」と、ふと口にしてしまった自分が情けない。しかしやはり「会いたい」と思ってしまうし先生の声を「聞きたい」と思う。例えそれが絶対に叶う事がなくとも…

もしかすると僕は今迷っているのかもしれない。「先生どうしたらいいですか?教えて下さい」と無意識に思っているのかもしれない。

桜は満開、風が吹くと桜の花びらが舞う。人生の大先輩方の笑顔はとても温かかった。言葉の一言一言が経験という深い色彩を帯びている。それぞれの人生がある。新宿の街を歩きながら僕は僕の事を思う。「未熟だ」と思いつつも、だからこそ今を一生懸命に生きようとも思う。あぁ、なんて桜が美しいのだろう、と眩しいほどに咲き誇る力強さに「やる気」をもらった2014年の4月。

0 件のコメント:

コメントを投稿