所属事務所

夜にバッハを聴く


高校の時に一人暮らしを始めて、アパートではいつもグリュミオーのバッハを聴いていた。


夜な夜なこれを聴いては、苦しさを覚えていた。


当時、桐朋の副科作曲がなかったこともあり、その時弾いていたバッハの鍵盤作品を写譜しては、下手なりに編曲もしていた。記譜することに飢えていた。


この様な演奏は「音がきれい」とか「素敵な音楽」とかの言葉では全くなく、むしろ「痛みのある音」「心の苦しさ」と言っても過言ではない。


僕にとってはクラシック音楽は癒しでもなんでもなくて、ある種の受難、そこからの一点の光に手を伸ばす、そういうもの。


「生きる」ことであり「生きたい」と願う。「生」に手を伸ばすこと、それはある意味「音」にしがみつくこと。


今日のレッスンは4時間バッハ。楽曲構築(設計)の細部に渡り生徒と見直す。知っていることでも今一度確認し、その価値を問う。未曽有の世界に引き込まれながらも魅力あふれる音楽に興奮を覚える素晴らしい時間でした。


明日のソロリサイタルは「ドイツ音楽の深淵、その闇と光」。いい時間になりますように…。

0 件のコメント:

コメントを投稿